同人雑誌『まんじ』寄稿文書一覧

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144号掲載「農ある暮らし~私の日常~」(3)

「農ある暮らし~私の日常~」(3)
(→pdf でもご覧頂けます)

 

古屋富雄写真
 

不便な暮らし

 

あえて不便な暮らしをしています
一から十、誰の助けも借りません
不便な暮らしをしています
食べるものもから着るものすべて作ります

毎日忙しく 毎日楽しい
やることがいっぱいある
妻の笑顔が柔らかい
そんな暮らしをしています

 

こうした不便な暮らしが良いようです
この一年、風邪もひかずに過ごしました
不便な暮らしが良いようです
たくさん働きぐっすり眠り目覚めます

毎日忙しく 毎日楽しい
やることがいっぱいある
妻の笑顔が柔らかい
そんな暮らしをしています

あなた(貴社)に託すもの

 

先祖代々の田や畑を、あなたに託したいと思います
本当は息子か娘に、跡を継いで欲しかったのですが
村に帰って来る、気持ちはないと言っています

爺さんの植えた蜜柑の木は、今年もたわわに実をつけました
稲の穂も黄金に色づき、実りの秋が近づきましたが
収穫作業は、今年も妻と二人です

これから何年今のまま、元気にやっていけるか不安です
友が一人また一人、鬼籍に入ってしまいましたが
あなたが町から 移り住んでくれました

あなたの家から幸せそうな、皆の笑う声が聞こえます
この先も子供や孫と、暮らせる当てがないのなら
田んぼや畑は
あなたにすべて託します
あなたに夢を託します
村の未来を託します

天気予報

 

いつもテレビで天気予報を見ています
明日は雨だというのに月が出ています
雨なら妻と二人で町へ出かけます
その日一日、畑の仕事は休みです

予報がたまに外れる時もありますね
今日は朝から日が差す良い天気です
草刈り作業があと一息で終わります
妻に「夕食、外で取ろう」と言いました

農家の仕事は天気に左右されますよ
晴れが続けば仕事のはかが進みます
雨も程よく降ってくれると良いですね
妻の笑顔、町で見るのも良いですね

耕作放棄地

 

稲の作付けが制限されて
故郷の景色が変わり始めました
綺麗に揃った早苗の里も 今は昔の原風景
田んぼは米を作る所で
米は主食と思っていました
黄金色した実りの里も 今は昔の原風景

あー 時代が変わったのか 
あー 暮らしが変わったのか
田んぼに何も作らない 農家が増えてきています

みかんの値段が下がり続けて
故郷の景色が変わり始めました
笑顔で溢れたみかんの畑も 今は昔の理想郷
野菜の値段も上がることなく
後を継ぐ子も居なくなりました
一家総出の野良の仕事も  今は昔の理想郷

あー これで良いのだろうか
あー これからどうしようか
畑に何も作らない 農家が増えてきています