同人雑誌『まんじ』寄稿文書一覧

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同人雑誌『まんじ』寄稿文書一覧

145号掲載「農ある暮らし~私の日常~」(4)

「農ある暮らし~私の日常~」(4)
(→pdf でもご覧頂けます)


晴耕雨読

晴耕雨読と洒落込んで、田舎暮らしをしています
悠々自適を自負しつつ、3年の月日が経ちました
悠時に少雨の年があり、時に長雨の年がある
蒔いた種は芽を出さず、育った苗も朽ち果てる
あー 晴耕雨読 晴耕雨読
これが現実 晴耕雨読

自給自足と意気込んで、野菜作りに励みます
主食の米は無農薬、もちろん野菜も無農薬
時に日照りの年があり、時に大風の年がある
獲らぬ狸の皮算用、思い通りにいかぬもの
あー 自給自足 自給自足
これが現実 自給自足

時に寒波の年があり、時に大雪の年がある
みかんの苗木は葉を落とし、毎日家に居るばかり
あー 晴耕雨読 晴耕雨読 
これが現実 晴耕雨読

定年後

今日まで 一生懸命働いてきました
今日は私の誕生日です
今日で定年になりました

今日から やりたいことは自分で決める
今日は私の一区切りです
今日で私は変わります

仕事に行かなくても良い
小躍りするほど嬉しい
やっと人生始まった
これから何をしましょうか

明日から やりたいことが山ほどあります
明日は私の始まりです
明日で私は変わります

妻に相談して決めます
許してくれると思います
田舎で農業したい
人生本音で終わりたい
人生本音で終わりたい




来たれ市民の農業者


私は農家ではありません
耕す畑は借りています
週末ここにやってきます
野菜作りに励んでいます

隣も農家ではありません
同じ畑を借りています
毎日ここに来るそうです
去年会社を辞めたそうです

来たれ市民の農業者 
来たれ市民の農業者

月に一度が楽しみです
地主の家に呼ばれます
和気あいあいの食事会です
私の野菜も振る舞われます

私は農家ではありません
耕す畑は借りています
地主も隣も良い人です
あなたも農業してみませんか

来たれ市民の農業者 
来たれ市民の農業者



祖父母と暮らして

お祖父さんに手紙を出しました
父はそちらに戻らないと言っています
それなら僕が一緒に暮らして良いですか
田畑の仕事を教えて欲しいと書きました

お祖母さんは如何思いますか
母はあなたのしたいようにと言っています
それなら僕が農家を継いで良いですか
自慢の料理を食べてみたいと書きました

こうして、僕は、お祖父さんとお祖母さんと
暮らすことになりました

トラクターを初めて動かします
エンジン音が納屋いっぱいに響きます
耕す時は一番遅くて良いからと
お祖父さんが畔の向こうで見ています

田んぼにお昼が届きます
僕の好きなクラブサンドも入っています
ポットの中身はコーヒーにして良いからと
お祖母さんが豆から挽いてくれました

こうして、僕は、お祖父さんとお祖母さんと
今日も暮らしているのです

灯篭流し

子らがたたく太鼓の音で観音祭りが始まりました
今日はお盆の16日ご先祖様が帰ります
胡瓜の馬でやって来て、茄子の牛で帰って行く
短い4日が終わります

走馬燈が風につられて、くるくると回っています
灯篭流しがそろそろ始まる時間です
胡瓜の馬でやって来て、茄子の牛で帰って行く
ご先祖様との別れです

妻が仕立てた浴衣をまとい灯篭流しに出かけます
我が家の名前が記された灯篭が流れています
胡瓜の馬でやって来て、茄子の牛で帰って行く
別れを惜しむ流れです
灯篭流しが続いています

 
 
まんじ142号「農ある暮らし~私の日常~」(1)
まんじ143号「農ある暮らし~私の日常~」(2)
まんじ144号「農ある暮らし~私の日常~」(3) 
まんじ145号「農ある暮らし~私の日常~」(4) 
まんじ146号「農ある暮らし~私の日常~」(5)